2009年5月26日火曜日

異世界の聖機師物語 1 補足


何を言っているのかわからない文章はいつものことだけど、実際の絵を見ても理解が困難な表現だったので補足。

「線の太さとフィルタの相性の結果」と記述した問題をもう少し具体的に。

これは異なる太さの線に対し、同じぼかしフィルタでぼかした結果を並べたもの。説明のための極端な例で普通のアニメではまずありえない状態だけれど、白地に左から1ピクセル幅~5ピクセル幅の完全な黒の線が元(上)で、それをぼかしたの結果が下。実際のサイズだと見にくいので拡大してます。

線が太い場合は、輪郭がソフトになったという感じになるのに対し、細い線では中心部分が明るい灰色に大きく変化している。ぼかし処理が何をやっているか考えれば当然の結果だけれど、並べて見ると線の太さによって実際の明るさも見た目の印象も異なるのがよくわかる。

このアニメの不自然なボケ画質の原因は、元の絵では線が細いところが多く精細な作画をしておきながら、その線の輝度が大きく狂うところまでぼかしてしまったために細い線がことごとく明るくなり、意図したボケの効果の上にコントラスト低下の副作用が加わって、「細かい描き込み程ボケて見える」というバランスの悪い絵になってしまった点にありそうだ。

画面全体が細い線だったフレームはコントラスト不足感が強く感じられるのに対し、絵を拡大しているなどで線が太いカットでは輝度の変化という副作用は目立たずコントラストが維持され、はっきりした輪郭のHVらしい絵に見える、という点が「線の太さとフィルタの相性の結果」で言いたかったところ。同じフレーム内でも線の太さで明るさが異なるので、すごくボケてるようでそれほどボケてない独特の画質になっている。

同じ問題は作品に関係なく起こり似た例もあるものの、通常はこの問題が表面化しない範囲で線を太くするか、ぼかしを弱めるなど最終的な絵を見てちゃんと調整しているように思え、全体にこの特徴が確認できるものはあまり見かけない。工夫すればコントラストが小さくなる副作用を軽減することも可能であるし、それ以前にジャギ感が強い絵になるとしても最低限のぼかし程度で十分だったのでは?

このアニメでは遠近を表現するためにピントの合っていない部分をぼかしたり、動きのある部分はぶれのある絵にして動きが滑らかに見えるようにするとか、妙なところは丁寧に作っているのに、全体にボケ感の強い画質にしてしまったためにその効果がわかりにくくなってしまっているのももったいない話。

線の太さは基本的に作画に影響されることもあって、アニメ制作全般でバランスを考える必要がありそうにも思え、簡単に改善できるかどうかは実際の制作環境次第なのかもしれないけれど、長く続くだけにもう少し工夫して欲しいところ。